ぐるぐる回るめまい『良性発作性頭位めまい症』

グルグル回るめまいの多くは、内耳の病気が原因です。 その中でも代表的なのが「良性発作性頭位めまい症」です。


■ぐるぐる回るめまい

内耳にある三半規管や耳石器などの異常で起こる

めまいは3つのタイプに分類されますが、ぐるぐる回るめまいの多くは内耳の病気によって起こります。


●内耳の構造とめまい

内耳は、耳の鼓膜の奥にある部分です。内耳には、体のバランスを保つのにかかわる「三半規管」「耳石器」「前庭神経」などがあります。 三半規管は、体が開店する動きを感じ取ります。耳石器は、上下や左右の直線的な動きを感じ取り、重力も感じ取っています。 三半規管や耳石器が感じ取った情報は、前庭神経を介して、脳に伝えられます。 三半規管や耳石器、前庭神経に異常が起こると、体が回転していないのに回転しているように錯覚するため、ぐるぐる回るめまいが現れます。 音を感じ取る蝸牛に障害が及ぶと難聴や耳鳴り、耳閉感が起こります。


●内耳が原因の病気は主に3つ

めまいの原因となる主な内耳の病気には次の3つがあります。

▼良性発作性頭位めまい症
三半規管の異常が原因です。頭を特定の位置に動かしたときに、めまいが起こります。 めまいは数秒から数十秒と比較的短い時間で治まりますが、その後も繰り返します。難聴などの聴覚症状を伴うことはありません。

▼メニエール病
三半規管や蝸牛の異常によって起こります。疲労やストレスなどが、発症のきっかけになります。 めまいは10分から半日程度続き、繰り返し起こります。蝸牛も障害されるので、軟調や耳鳴り、耳閉感といった聴覚症状を伴うのが特徴です。
前庭神経炎
前庭神経の異常が原因で、風邪を引いた後などに起こりやすいとされています。 かなり激しいめまいが数日間にわたって断続的に起こります。いったん治まれば、激しいめまいを繰り返すことはありませんが、 体がふらつくような感覚が残る場合があります。聴覚症状は伴いません。

■良性発作性頭位めまいとは?

三半規管内の耳石がリンパ液の流れを乱す

めまいを起こす病気の中で最も多いのが、三半規管の異常で起こる良性発作性頭位めまい症です。 三半規管は、耳石器と共に、”「リンパ液」で満たされた容器”の中にあります。 耳石器には、「耳石」という非常に細かいカルシウムでできた結晶があります。 その耳石器がはがれて塊となり、三半規管に入り込むと、良性発作性頭位めまい症が引き起こされます。 耳石が三半規管に入り三半規管内を移動すると、中のリンパ液の流れが乱されます。そのため、回転していると錯覚して、ぐるぐる回るめまいが起こるのです。 耳石は、頭を特定の位置に動かしたときに三半規管に移動しやすくなります。 例えば、洗濯物を干すために上を向くと頭が反って、耳石が三半規管に入り込みやすい状態になります。 美容室などで頭を反らして洗髪してもらう動作、高いところのものを取る動作、あおむけの状態から起き上がる動作でも、 耳石が三半規管に移動しやすくなります。


●高齢の女性は特に注意が必要

良性発作性頭位めまい症は、高齢の女性に比較的多く起こります。その原因の1つとして、耳石を作るカルシウムの代謝が低下し、 耳石を作るカルシウムの代謝が低下し、耳石が耳石器からはがれやすくなることが考えられています。 ふだん、頭をあまり動かさずに、じっとしている人も注意が必要です。 頭をあまり動かさずにいると、耳石器からはがれた耳石がたまって塊ができやすくなります。 その耳石の塊が、良性発作性頭位めまい症の引き金になります。 頭を強く打った場合も、衝撃で耳石が剥がれて三半規管に入り、良性発作性頭位めまい症をおこすことがあります。


■良性発作性頭位めまい症の治療

耳石を耳石器に戻したり、薬で和らげる

医療機関では、医師が患者さんの顔を動かして、三半規管に入った耳石を耳石器に戻す治療が中心に行われます。 この治療を受ける際には、「フレンツェル眼鏡」という特殊な眼鏡を、患者さんにかけてもらいます。 フレンツェル眼鏡をかけることで、患者さんの目を拡大して観察することができます。 めまいが起こっているときには、眼球が異常な動きをする「眼振」という現象が現れます。 眼振の起こり方によって耳石の位置を確認できるので、眼振を観察しながら患者さんの頭を動かして、 三半規管内にある耳石を元の場所に戻してやります。耳石が三半規管から出てしまえば、めまいは治まります。

それ以外に、薬物療法がおこなわれる場合もあります。薬でめまいの原因を取り除くことはできませんが、つらい症状を和らげる効果があります。 薬は患者さんの症状に合わせて使用されます。吐き気や嘔吐でつらい場合は、「制吐薬」が用いられますし、 めまいがひどく不安な時には、「抗不安薬」が使われます。


■自分でできる対策

頭を動かす体操を行ったり、寝る姿勢を変える

医療機関で良性発作性頭位めまい症と診断されている場合は、自分でできる対策もあります。 その1つが、頭を動かして耳石が1か所にたまらないようにする体操です。 仰向けに寝て、頭部を右に向け10秒間保ちます。左右交互に10回程度頭を動かします。これを1日数回行いましょう。 頭の位置が低いと、三半規管に耳石が入り込みやすくなります。高めの枕を使ったり、寝る姿勢を変えて、耳石が三半規管に入りにくくしてやるとよいでしょう。 ふだんから、めまいの起こる位置に頭を動かさないことも大切です。

良性発作性頭位めまい症は、耳石が自然に消えたり、散ったりして1か月程度でよくなる場合がほとんどです。 再発しやすいのですが、良性で治りやすい病気なので、あまり心配することはありません。