黄斑変性症Q&A

黄斑変性症のQ&Aです。


■質問@

3年ほど前に「加齢黄斑変性」と診断され、黄斑の膜を取る手術を2年前に受けました。 手術後は経過観察ということで今に至っています。手術では進行を止めただけで、左目で見ると物が歪んで見える状態は、 手術後も変わりありません。この状態は今後もずっと続くのでしょうか。見え方を改善する方法はないものでしょうか。 (70歳代・女性)

●答

眼球はカメラのような構造をしており、目に入った光は網膜というフィルムに相当する膜で感じ取られます。 黄斑は網膜の中心部で、細かいものを見るのに最も重要な細胞が集中しているところです。 「加齢黄斑変性」は、加齢により黄斑の細胞が障害される進行性の病気で、患者さんは主に高齢の男性です。 視野の中心部分の暗点、直線の歪みなどの症状を生じ、日常生活においては、細かな視力を必要とする読書や、 人の顔を見分けることなどに困難を感じます。通常はまず片方の目に生じますが、その数年後の間にもう一方の目にも生じ、 両眼性に進行する病気です。加齢黄斑変性は日本人の中途失明の原因の4番目を占める疾患で、今後も患者さんの増加が 予想されています。危険因子としては加齢や喫煙、家族歴、高血圧などが挙げられます。

加齢黄斑変性は「萎縮型」と「滲出型」に分類されます。このうち、滲出型は、脈絡膜からの新生血管を伴うもので、 網膜の出血やむくみが急激に進行することが多く、治療しないまま放置すると視力低下が進みます。 一方、萎縮型は、境界鮮明な円形の網膜色素上皮の委縮を認めるもので、急激に進行するケースは多くはありません。 治療の対象となるのは滲出型だけで、萎縮型は治療の対象ではありません。病状の改善とその維持を目的として 治療が行われますが、治療により完治することはなく、生涯にわたる継続的な治療が必要です。 また、滲出型でも病状によっては、歪みなどの自覚症状があっても治療による改善が望めないこともあります。 抗血管内皮細胞増殖因子(VEGF)薬の硝子体内投与が第一選択となることが多いのですが、病状によっては、 光線力学療法との組み合わせで治療が行われています。

加齢黄斑変性以外にも「黄斑前幕」などのように黄斑が障害されることによって生じる疾患では、自覚症状が類似しているため、 症状だけで疾患を推定するのは難しいです。ご質問者は膜を取り除く手術を受けられたということですので、 加齢黄斑変性ではなく黄斑前幕の可能性があります。加齢黄斑変性も黄斑前幕も歪んで見える症状を治療で完全に治すことは困難で、 治療効果も治療前の状態によって異なります。一度、黄斑疾患を専門とする医師にご相談ください。


●質問A

昨年末に「加齢黄斑変性」と診断され、8月の終わりに光線力学療法を受けました。 治療の結果は3ヶ月後の検査で調べる予定ですが、それに先立って先日診察を受けたところ、暗点部が縮小しており、 わずかに視力の向上が見られました。担当医は「これだけでは回復に向かったとはいえない」と慎重ですが、 視力回復の事例もあると聞いています。視力が回復した事例では、視力、暗点、歪みなどの点がどの程度改善したのでしょうか。 (70歳代・男性)

◆答

光線力学療法(PDT)によって視力が回復した例では、視力がある程度上がり、また、暗点が小さくなって歪みも少なくなります。 しかし、PDTを行っても、黄斑部には出血や滲出、新生血管などによる組織の痛みが残るため、視力の改善には限界があります。


●質問B

先日、「白内障」と「最強度近視性黄斑萎縮・網膜赤道部変性症」との診断を受けました。 医師に「白内障は軽度なので手術はまだ必要ないが、もう一つの病気(萎縮型の黄斑変性)は治らない」と言われました。 現在、右目の視力はゼロに等しく周辺部だけがぼんやりと見える程度です。 左目は眼鏡をかければ見えますが、いずれは右目と同じようになるそうです。 直したり、進行を遅らせる方法はないのでしょうか。(70歳代・女性)

◆答

近視が強いと、黄斑部の網膜や脈絡膜が変性することがあります。その程度が強い場合は、網膜が傷んで視力が大きく低下し、 視野に見えない部分ができます。また、脈絡膜に新生血管が出てきて、出血が起こり、網膜が傷むここもあります。 残念ながら、傷んだ網膜を治す方法や、進行を遅らせる効果的な方法はないのが現状です。


●質問C

25年前に左目の「黄斑変性」と診断され、現在に至っています。最近別の眼科医に相談したところ、 「その後、右目に何も起きていないのであれば、治療を差し控えて様子を見たほうがよい」というアドバイスを受けました。 積極的に治療や手術を受けて、元の視野を回復することはできないのでしょうか。

◆答

25年前に発症したとのことですから、すでに、進行が予測されるような活動性の所見はなく、黄斑部が傷んだ状態なのだと思われます。 しかし、黄斑部の傷んだところを治す方法はまだありません。残念ですが、元の視野を回復するのは難しいでしょう。