緑内障の薬『点眼薬』

緑内障』の治療では、近年、効果の高い点眼薬が増え、 点眼治療だけで病気の進行を抑えられる人が多くなっています。 早期から治療を始め、十分に眼圧を下げられる薬をしっかり使い続けることが大切です。

緑内障は、視神経が障害されて視野が欠ける病気です。初期には自覚症状がほとんどなく、病気に気付かないことが多いですが、 放っておくと視神経が弱って徐々に減っていき、失明に至ることもあります。 中高年に多い病気で、40歳以上の20人に1人にあるとされています。 かつては緑内障と言えば眼圧が高いために起こる病気と考えられていました。 しかし近年、眼圧が正常範囲(10〜21mmHg)でありながら視神経障害が起こるタイプ(正常眼圧緑内障)が多いことがわかってきて、 特に日本では、このタイプが緑内障の7〜8割を占めると言われています。 そのため現在では、緑内障は、主に視神経が弱いことによって起こる病気と考えられるようになっています。 治療では、眼圧を下げることで視神経への圧迫を軽減し、進行を食い止めることを目指します。 眼圧を下げる治療法には、薬物療法、レーザー治療、手術などがあり、緑内障のタイプ(開放隅角緑内障、閉塞隅角緑内障)や 進行度などに応じて選択されますが、多くの場合、中心となるのは点眼薬による薬物療法です。 ここでは、緑内障の治療に使われる点眼薬について、説明していきます。


■どんな薬?

●緑内障の治療に使う点眼薬とは?

眼圧は眼球内を満たしている房水の量によって左右されます。眼球内の房水が多くなると眼圧が上がってしまいますが、 その眼圧が下がれば、視神経の負担が軽減され、緑内障の進行が止まります。 そこで治療としては、房水の産生を抑えたり排出を促したりして、房水を減らすことで眼圧を下げる薬が用いられます。

▼点眼薬の効果は?薬を使っても、緑内障はよくならない?
残念ながら、一旦障害された視神経を元に戻すことはできません。 緑内障の治療はいずれも進行を阻止することを目的に行われるものです。 それだけに、生活に不自由を感じる前に治療を開始し、将来に向けて治療を続けることが大切になります。

▼点眼薬で眼圧を抑えていれば、緑内障は進行しない?
有効性の高い薬が増えてきたことで、現在は、点眼薬による治療をきっちりと行えば、生涯、見ることに不便を感じない状態を 維持できる人が多くなってきています。ただし点眼薬は、基本的にずっと使い続けることになります。

●眼圧が高くなくても、眼圧下げる薬効果があるの?

「眼圧は正常範囲だが、緑内障(正常眼圧緑内障)」と言われた患者さんでは、眼圧を下げる薬で本当に効果があるのか? と思う人もいるでしょう。正常眼圧緑内障は日本で最も多いタイプの緑内障です。 ここ十数年で、眼圧を下げる治療は、正常眼圧緑内障にもとても有効な治療法であることが明らかになってきました。 眼圧が正常範囲でも、眼圧をしっかり下げれば、ほとんどの緑内障の進行を止めることができます。 海外の大規模臨床試験では、眼圧が1mmHg下がることで視野障害の進行が約10〜20%低下する、という報告もあります。


●眼圧が高いと言われたら、緑内障の薬を使う?

緑内障の中でも、隅角が狭くなって虹彩が隅角にくっつき房水の排出路が塞がれる「閉塞隅角緑内障」では、 虹彩にレーザーで孔を開けるレーザー治療や白内障手術で、眼圧が高くなる原因を取り除くことができます。 このタイプの緑内障では原因の解消を図る治療が優先になります。

▼視神経障害がなくても、眼圧が高いとわかったら、緑内障の薬を使う?
眼圧が高いだけの場合は「高眼圧症」と呼ばれ、必ずしもすぐに薬を使うとは限りません。 高眼圧症には緑内障の予備軍もいるので、眼圧を下げる薬を開始する場合もありますが、 眼圧が高いだけで、生涯緑内障にならない人も少なくないからです。 ただし、治療を行わない場合も、年に1回程度の検査で経過観察をし、視神経の問題が見つかったら治療を開始します。 検査を行っていれば自覚症状のない早期に見つけられるので、それから治療を始めて進行を止めても遅くはないでしょう。