白内障

目の老化によって起こる代表的な病気の1つが『白内障』です。 白内障は、カメラのレンズに当たる「水晶体」が白く濁る病気で、目のかすみや、視力低下などの症状が現れます。 白内障の9割以上は、加齢が原因となって起こる『加齢白内障』です。 「めのかすみ」や「視力低下」などが代表的な症状ですが、「眼内レンズ」を入れる手術によって、 鮮明な視界を取り戻すことが必要です。
ここでは、白内障の起こる仕組みや症状、手術法、眼内レンズの選び方などについて詳しく説明します。
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白内障

■白内障とは?

「水晶体」が白く濁る病気

『白内障』は、眼球の中の「水晶体」という組織が白く濁ってくる病気です。

●9割以上が加齢によるもの

白内障は、「糖尿病」や「アトピー性皮膚炎」の合併症として起きたり、薬の影響や外傷で発症したりすることもあります。 しかし、最も多いのは、加齢が原因で起こる「加齢(老人性)白内障」で、 白内障全体の9割以上を占めています。 また、白内障は、年を取れば誰にでも起こりうる病気です。日本で行われたある調査では、60歳代では約7割の人に、 70歳代では8割以上の人に、そして80歳以上ではほぼ全員に、加齢白内障が見られるという結果になっています。 ただし、症状の程度には差があり、すべての人に視力障害が起こるわけではありません。


●水晶体の仕組み

水晶体は、無色透明の弾力のある組織で、主にタンパク質と水分から成っています。 直径は10mmほどで、厚みのある凸レンズの形をしています。 中央には、「核」があり、その周りを「皮質」が囲んでいます。 水晶体の外側は「嚢」と呼ばれる膜で包まれており、「チン小帯」という細い血管で、 「毛様体」と連結しています。

●「屈折」と「調節」

水晶体には、大きく分けて2つの働きがあります。1つは、外から入ってきた光を「屈折」させ、 網膜上にピントを合わせることです。もう1つは、毛様体の筋肉(毛様体筋)の働きによって厚みを変えることで、 遠くの距離から近くの距離までピントを「調節」することです。 年を取るにつれて、毛様体筋が衰えたり、水晶体の弾力が失われたりして、 ピント調節がしにくくなる「老眼」になります。 しかし、水晶体が無色透明であれば、外からの光を通すことができるので、眼鏡で矯正すれば、 網膜上にハッキリとした像を映すことができます。 ところが、水晶体が白く濁ると、光が本来と違う方向に屈折したり、散乱してしまいます。 そうなると、いくら眼鏡で矯正しても網膜に鮮明な像が映せなくなり、物がかすんで見えたりするようになります。 これが白内障です。なぜ水晶体が白く濁ってくるのかはよくわかっていませんが、 加齢とともに水晶体の主成分であるタンパク質が変性することなどが原因と言われています。


■白内障の症状

「目のかすみ」や「視力低下」が代表的な症状

一般に、加齢白内障はゆっくり進行します。そのため、見え方に異常があっても、そのことに慣れてしまい、 なかなか自覚できない場合があります。また、左右の目で発症する時期が異なると、 見えにくい方の目をもう片方の目が補うため、見逃してしまう場合もあります。 しかし、水晶体が徐々に濁ってくると、普通は次のような自覚症状が現れてきます。

▼めのかすみ
最もよく見られる症状です。水晶体の濁りが広がってくると、目の前に霧がかかったように物がかすんで見えます。

▼視力低下
新聞などの小さな文字がだんだん読みにくくなります。この場合、メガネをかけても見えにくさが変わりません。

▼眩しく感じる
水晶体が濁って、すりガラスのような状態になると、目に入ってきた光が散乱してしまいます。 そのため、以前より光を眩しく感じるようになり、明るいところでは物が見えにくくなります。 特に、日光が強くさしている場所に出たりすると、一層眩しく感じます。 また、遮光のときなどは、全く見えないこともあります。夜間でも、自動車の運転中などに対抗車のライトを浴びると、 眩しくて何も見えなくなることがあります。

▼暗い所で見えにくい
水晶体が濁ってくると、網膜に届く光の量も減ってきます。そのため、以前に比べて暗い所で物が見えにくかったり、 照明がついていても暗く感じたりします。

▼物が二重、三重に見える
白内障が起きている方の目だけで見たとき、物が二重、三重に見える「複視」が起こることがあります。 これは水晶体が濁ることで、中心部にある核と、その周りの屈折率がずれてくるためです。

▼一時的によく見えるようになる
水晶体の核が濁って硬くなると、屈折率が増して「近視」の状態になり、近くのものがよく見えるようになります。 老眼が治ったと考える人もいますが、あくまでも一時的な症状で、白内障の進行につれて、視力は低下していきます。


■濁り方の種類と進行

どこから濁り始めるかによって症状の現れ方が異なる

▼皮質白内障
水晶体の周辺部にある皮質から濁ってくるもので、加齢白内障の大半はこのタイプです。 小さな楔形の濁りがいくつも生じてきます。初期には、自覚症状は少ないのですが、人によっては眩しく感じたり、 暗い所で見えにくくなることがあります。濁りの程度が進行すると視力が落ちてきます。

▼核白内障
水晶体の中心部にある核から濁ってくるタイプです。初期には、メガネの度数が合わなくなったりします。 これは、核が硬くなって屈折率が増すことで、一時的にピントが手前の方にずれてくるためです。 進行して濁りが広がってくると、視力低下が起こります。

▼後嚢下白内障
後嚢に接した、水晶体の後ろ側の皮質が濁ってくるタイプです。真ん中から濁り始めるので、他のタイプに比べて、 かなり早い時期から視力低下が見られます。明るいところでは眩しく感じ、見えにくくなります。

■白内障の予防

紫外線に気を付け、栄養バランスの良い食事を摂る

加齢白内障は、老化現象の一つです。したがって、基本的に加齢白内障を予防する方法はありません。 ただし、「紫外線」が水晶体の濁りを促進させることはわかっています。 ですから、紫外線の強い時期は、UVカットのサングラスや帽子を着用するなどして目を守ることが、 白内障の進行を遅らせる1つの手立てといえます。 また、栄養バランスのとれた食事などを心掛けて、全身の老化を遅らせることも大事です。


■加齢以外の原因で起こる白内障

白内障は多くの場合、加齢が原因で起こりますが、中には、加齢以外の原因で白内障を発症することもあります。

▼併発白内障
併発白内障とは、他の病気の合併症として起こる白内障を指します。 その代表が、糖尿病が原因で水晶体が濁る「糖尿病白内障」です。 糖尿病がある人は、「糖尿病網膜症」だけでなく、白内障などにも気をつけなければなりません。 内科だけでなく、眼科でも定期的に検査を受けることが大切です。
また、「アトピー性皮膚炎」に合併して、白内障を発症することもあります。 最近は、慢性化したアトピー性皮膚炎のある10〜30歳代の人に、白内障が増えていると言われています。 さらに、虹彩や毛様体、脈絡膜に炎症が起こる「ぶどう膜炎」など、 他の目の病気に合併して水晶体が濁ることもあります。

▼薬による白内障
「ステロイド薬」を長期間、大量に使い続けると、白内障を起こしやすいことが知られています。 ステロイド薬は、アトピー性皮膚以外にも、「腎臓病」や「自己免疫疾患」など、さまざまな病気の治療に用いられています。 長期間使用している人は、定期的な目の検査が必要です。
また、緑内障の治療薬で、瞳孔を縮める作用がある「ピロカルピン」などの副交感神経刺激薬を 長期にわたって使用すると、白内障を招くことがあります。

▼外傷性白内障
目を突かれたり、強く打ったり、こすったりと、外部からの物理的刺激によって水晶体が障害を受けると、 白内障が起こることがあります。

▼その他
これらのほかにも、紫外線を多く浴びたり、強い放射線を浴びたりすると、白内障を発症しやすいことがわかっています。 また「先天性白内障」といい、生まれつき水晶体が濁っているケースもあります。